【訃報】
— 北原尚彦@『モリアーティ秘録(上・下)』(創元推理文庫)12/12発売 (@naohikoKITAHARA) 2019年1月15日
SF作家で押川春浪・天狗倶楽部の研究家でもある横田順彌(よこた・じゅんや)さんが4日、心不全のため亡くなられました。73歳。葬儀は近親者で営まれました。喪主は
姉の鈴木ます子(すずき・ますこ)さん。出版・作家・友人関係での「偲ぶ会」は、今後開催される予定です。
上記ツイートの通りで言葉が出んが、無理にでも言葉をつむぐ事にする。以下、敬称略。
30年前、呉市の中央図書館にあった『日本SFこてん古典』と『快男児 押川春浪』で、明治時代は学校で教えていたシリアスな側面ばかりでなく、明るい面やアホな話があった事を知った。*1『快男児 押川春浪』に書いていた、春浪が東京朝日新聞の『野球と其害毒』をはじめとする野球害毒論に立ち向かった姿から、「自分の趣味や好きなものが理不尽に脅かされた時には、自ら戦わなければならない」と言う事を学んだ。*2横田の明治研究家としての功績には、頭が下がる。
が、横田の小説の中に、どうしても好きになれないものがある。どうしても気に入らないものがある。『最後の人びと』と言う短編だ。内容は本当に酷いきっかけで地球上の女性が全員死んでしまい人類が滅びる様を、何者かがバカにしたような口調で語るものだ! なんでこうむかしのSF作家は、ミソジニーむき出しの話を書くのかしらねー。いやなら読むなと言われても、もう読んじゃったし……。オレはこの作品へのアンチテーゼになりそうな話を作りたかったが、全然出来んかった。『五千年の巨人 ユミル』と言うヒーローもので、その辺をやろうとしたが、作品自体は書けず、ヒーローのデザインは某誌のヒーローデザインコンテストに出しちまったし。……横田順彌を追悼したいのか、追討したいのかどっちなのか分からなくなって来た。『最後の人びと』のせいで、小説家としての横田より、明治研究家としての横田にばかり注目するようになったのだが……。そっちの話をもう少し。
横田順彌さんがから聞いた話ですが、大河ドラマ『いだてん』は押川春浪や天狗倶楽部については、事前に協力・資料提供したそうです。わたしは「「協力・横田順彌」って入れてもらいましょうよ!」と言ったのですが、途中で面倒臭くなって手を引いちゃったそうです(本人談でNHKには未確認です)
— 北原尚彦@『モリアーティ秘録(上・下)』(創元推理文庫)12/12発売 (@naohikoKITAHARA) 2019年1月16日
なんと。『いだてん』の天狗倶楽部の影に、こんな話が。ただ、NHKに未確認な話だと言う事をお忘れなく。NHKと横田と言えば、『ライバル日本史』と言う番組で野球害毒論争を扱った時に、横田が押川春浪側に立って出演した*3と言うが、番組を見逃したし書籍版も入手してない! トホホ。今から入手出来るかは絶望的だし。
横田の訃報に気が動転して、なんか随分失礼な事を書いたかも知れない。しかし横田について思う事を、ありのまま書いただけでもある。とまれ合掌。
……ところで、同い年の永井豪は大丈夫なんかな?