走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

景気の悪い話

 この記事、最初は「居残り」と言う題名にする予定だった。『いだてん』39話で圓生が、『居残り佐平次』のマクラで「居残りは景気が悪いもの」みたく言っていたのをマクラに、「オレもいろいろ取り残されて、居残りみたいなもんだ」と繋げる予定だったが、「なんによ、なんに取り残されたのよ」と言う疑問が出てしまって書けなくなった。なので題名を変え、聞いたもんが渋面になるような景気の悪い話を。

 題名は忘れたが光瀬龍の小説に、こう言う内容のものがある。時はおそらく未来、主人公は植物を焼き払う仕事をしている。なんでそんな仕事があるのかと言うと、植物の光合成により発生する酸素が工場を痛め、生産効率を下げるからだそうな。これはラストで明らかになるんだが、なにかまうものか。そのくだりを読んだ時、オレは「目的と手段が、逆転してないか?」みたいな不安に……。当然そんな作品世界がマトモであるわけはなく、防護服を着てなければ命もあやうくなる酸性雨がザンザン降り、主人公も給料が安く、そうやって生産した企業の製品を買う事も出来ない……。オレはこの小説を読んだあと愕然とした。「こんな未来、いやや!」と。しかし現在、この小説に込められた警告とか寓意とか言ったものは、当たってしまった。劇中のような酸性雨は降らんものの、企業の効率追求から来る環境破壊は深刻で、そうまでして生産された製品を買えない者は日本で増え……。なんて景気の悪い話なんだ! 希望はどこにある? オレもそんな事態になんにも出来なかったし、件の小説の言わんとしていた事を胸に世の中をよくしようともしなかったから、あまり大きい事は言えねえけどな。

 しかしなー、こうまでSF作家の描く暗黒の未来像が的中していたら怖いが、事態はそれだけでは済まない気がする。世の中の状況を見ていると、かつてのSF作家も科学者も予想し得なかったマヌケな滅び方が人類に待ち受けてそうで。あくまでカンで言ってるから、エビデンスはないがな……。だけどねえ、こんな話が出来る相手がほとんどおらんのよ! だからこうしてブログに書いているけど、最近はそんな事している自分に嫌気がさす時が。いくら書いても話が広がらんし、「他にする事はないのか?」とセルフツッコミを入れたくなるし。かつてオレが表現規制反対のためにあれこれやっていた頃と違って、ネットですら人は繋がれなくなっているのだろうか。だとしたらとても悲しいが。SNSは人と繋がれるどころか、お互いを縛って行くツールになりつつあるし……。と、ここで話を戻すけど、この辺がオレに人類は「マヌケな滅び方」をするのではないかと思わせる判断材料のひとつだ。人はあまり賢くない生き物ではと思うような事を、四六時中見せられては……。例によってツイッターの事なんだけど。