走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

禁欲主義と英雄主義の混同

 みなもと太郎氏のエッセイマンガで、かつてみなもと氏が俳優の吉田義夫に「もっとヤクザ映画にも出て下さいよ」と言ったばっかりに、吉田にシャプレー星人も死ぬ勢い*1で叱られるシーンがある。そこで吉田は「禁欲主義(ストイシズム)と英雄主義(ヒロイズム)を混同させる事は、為政者の最も卑劣な手口だ」と言っている。吉田は『網走番外地』のような、こち亀両さん言うところの「耐えに耐えて……最後に悪党をぶっ殺す」作劇の事を言っていたのかも。そう言う作劇は観客にある種の快感を与える、だがそれは危険な快感だ。だって、特攻隊(あるいはそれ以前の肉弾三勇士)の賛美にもつながるもん。下記の記事のコメント欄で特攻隊うんぬんが出ているけど、その前に出て来た「最後の敵と相討ちになるヒーローを見た時の快感」もある意味、「禁欲主義と英雄主義の混同」であろうな。

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 「禁欲主義と英雄主義の混同」は、最近の道徳の教科書にもあるようで……。ナニ? 「ごほうびがもらえなくても、よろこんでしごとする」? これこそまさに。この傾向の行き着く先は、一億総「給料のいらない従業員」だと思うが……。本当にいいんか? そんなんで。

*1:これは吉田がウルトラセブンのシャプレー星人が出てくる話、『地震源Xを倒せ』にゲスト出演したのを踏まえてのギャグである。