走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

金を回さないニッポンの悲劇

 筒井康隆は、映画エッセイ『不良少年の映画史』を、映画のビデオソフトの流通が始まった事を理由に書くのをやめた。文庫版の解説で色川武大は「やめるのはもったいない」と言っていたけど、新興メディアが物書きに影響を与える一例と言えよう。関連して、最近のネットの発達で、ライターと言う商売も非常にやりにくくなった。金を払わずとも知識が得られる状態だもんな。ネットを利用するにも通信料が発生するので、完全にタダと言うわけでもないが。

 パオロ・マッツァリーノさんの『13歳からの反社会学』に、「今は(ネットで)なんでも無料と言うのが流行っているけど、どこかで金を回さなければ上手く行かなくなるのでは」みたく書かれていた。同感である、ネットの情報に胡散臭いものが増えて来たからな。それに「高度プロフェッショナル制度」がどうたらの裁量労働制も、資本家の金の払いしぶりを正当化するものだ。いきなり何をと言われそうだが、経営者も労働者も金を出ししぶっているから、ニッポンに金が回らなくなって不幸のスパイラルに陥っているのではないかと思ってね。オレだってそれなりに金があれば、キチンと対価を払ってサービスを受けたいんじゃ……。安月給でこき使われ、娯楽も何も楽しめない者が増えて、それで内需が冷え込んだら、裁量労働制に賛成する者たちはいったいどうするつもりなんだろう? 不安である。さりとて病人のオレには、何をどうする事も出来ない。そう、今のオレには、泣く事しか出来ないのです!