走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

とある同人作家の回顧録

 ツイッターで相互フォローの方と冬コミがらみで少し話をして、そこからオレ自身の同人誌作りの歴史を振り返ってしまった。紙の同人誌は本文原稿を完成させる事もさりながら、そこから……あるいは同時に……「冊子としての体裁」を整えて完成させねばならない。本に付き物の「台割」を考えねばならず、表紙・裏表紙も描かねばなりません。正直、よく年に一冊*1でも出せた時期があったもんだ。結果は世の9割がたの同人作家同様、赤字まみれだったけど。と言うか、冊子作りのノウハウを曲がりなりにも持っている人が馬に食わせるほどいると言っていい現代日本は、相当特殊な時期かつ土地柄なんじゃないかと……。それはコミックマーケット(以下、コミケ)と言う「マンガ本を自主制作する者」向けの世界最大級と言っていいイベントがあったり、そうなるまでの下地など、いろいろあるんだけど。問題は、そのコミケもまた変質を余儀なくされている事なんだよねー。コロナ禍で存続が危ぶまれたり、それがなくても入場方式の変更を模索しはじめていた*2り……。

 それらを思うと、今のオレは結構楽してるな……。書いてて、電子書籍を発行していると言っても、体裁はまだまだだと気付かされたし。すまん、「創作同人電子書籍」いっせい配信の主催者なかせよしみid:y_nakase)さん。次の配信時には、もう少し体裁を考えよう……。それと、オレはやっとこ過去出した紙の同人誌を処分する気になって来た。とは言え、シリーズものを目指して挫折した一冊についてだが。他のやつも、ついでに資料用として少数残し、片っ端から処分したいけど。あれらを置いとくと、自分自身が古びて行くようで。第一、部屋が狭い! もうオレにはふたたび紙の同人誌を出す余力はない、在庫に悩まされない電子書籍を活用するしかねえ。

 あとオレの場合、台割を主に脳内で作成していたが、パソコンを導入した頃に、それで台割表を作ればよかったとか、いろいろ至らない点がどっと襲って来て……。ええ、それは家庭や周囲に睨まれて萎縮し、どっちつかずに同人活動していたオレが悪かったんです。そのどっちつかずは、繰り言だけど「自分で自分の人生を生きてなかった」事の証左でもあるが……。あるいは、オレがコミケにサークル参加していた時期はネットの爆発的な普及に伴う過渡期とも言えるから、ネットで細々やる方に舵を切ってよかったのかも知れんと、今では思えている。波に乗り切れず消えて行った人たちも少なくないですからね、オレは「描く者」としてネットに残れただけいいのかも……。

 オレが同人作家として、今描いている作品を大切にせねばと思ってるのは、二次創作とは言えシリーズものとして企画しながら、1冊目で挫折した作品への申し訳なさ・慚愧の念があるのかも知れない。だから「描けるうちは描きたい」と……。書いているうちに、しんみりして来たわ。自作を安易に「黒歴史」化したいとは思わんが、過去の自分の見込みの甘さなどが今になってズシンとこたえて……。今みたいにホビージャパン同人活動のマニュアル本出すような時代じゃなかった*3し、SNSで宣伝出来るような時代でもなかった。ネットでの連絡も、今よりスローペースだったしねえ。そう言う事を勘案しても、オレはどっちつかずな態度だった。あの頃支えてくれてた皆さんには、大変申し訳なかったと思ってるよ……。統合失調症にもなり、にっちもさっちも行かなくなったのも大きいが。と言うか、統合失調症台割作ってただけでも、オレは偉いよ。思考がまとまりにくくなる病気で、よくもまあそんな荒業を。いや待て、周囲だけじゃなく持病にも足を引っ張られていたと言えるな……こりゃ。トホホ。むかしは本業は面白くないし、そこでの出世・栄達も出来そうになかったから「描く事」で現実逃避をしていたとも言えるが、そこを掘り返すと号泣しそうなんで、流そう。

 と言うわけで、今日は早めに寝る。寝不足なんだ……。

*1:同人イベント合わせがないと制作は休眠していたので、もうちょっとゆるかったかも知れない。

*2:東京五輪との兼ね合いもあったろうが。

*3:オレの若い頃はファンロードなど、いくつかの雑誌でノウハウは語り継がれ、マニュアル本も出てはいたが。