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克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

いきなり電子書籍マンガレビュー『空樹幻想』

 今回もなかせよしみid:y_nakase)さんの作品になるが、オレが電子書籍に手を出すようになったのも、なかせさんの「創作同人電子書籍」いっせい配信に参加したのが大きいからしゃーない。

・『空樹幻想』

 今回レビューするのは、なかせよしみさんが2012年に創作同人誌即売会コミティア」のカタログ『ティアズマガジン』の連載『東京・好奇心・散歩』を受け持つ事になって、その取材で仕入れたネタを基に描かれた同人誌*1を今年電書化したものだ。お題は2012年に竣工・開業した、東京スカイツリー。こう言う感想は本来のそれと違うんだろうが、2022年の今読むと「おもろうて やがて悲しき 『空樹(すかいつりー)幻想』」となった。

 すでに当時、先行の取材マンガなどがあったため、別のアプローチとして「スカイツリーは、どう言う壊れ方をするのか」から描いているんだけど、それを「鉄筋コンクリートの下駄を履き、鉄筋コンクリートの杖にもたれ、130メートルの鉄骨バトンを振りかざす、高さ500メートルの鉄骨組美少女」のドジ(?)として描いているのだが、それは当時、東日本大震災の記憶も爪痕も生々しい故の措置なのではと思ってしんみりしたし、最後に語られる電波塔としてのスカイツリーの話なんか、2022年の状況から逆算するとわびしくなって。もし、紙の同人誌として描かれた2012年に読んでいたら、別の感想があったかも知れない……。同人誌もまた、出会うタイミングで印象が変わるのかも。

bookwalker.jp

*1:『東京・好奇心・散歩』で描かれたものも、収録されている。