走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

どうして「血も涙もない善人」が多いんだ、世の中……

 はてブ経由で知ったんだが、裕木奈江が「現実世界で違法とされる行為は、エンタメでも表現を原則規制・禁止すべき」とツイッターで言った*1そうだな。それでつくづく、題名のように思った次第……。ここでの「血も涙もない善人」とは、善意はあるがそれだけで、善意を実現するための思慮が大いに欠けている程度に考えていただきたい。

 人から聞いた話では、裕木は例によってツイッターで袋叩きで、挙げ句の果てに大喜利のネタにもされたと言うから、それはやりすぎやろと思う。その上で、裕木には賛同出来ねえと言うけど。エンタメの影響で悪い事をさせないようにするために必要なのは、違法行為描写の禁止ではないからな! だいたい、エンタメを規制したとして、古典や報道はどうするんだよ。これらだって、悪い事をする参考に出来るじゃないか……。キリがないわ。キリもないけどノミもない。ないないづくし~、ないづくし~。……言ってる場合じゃねっての。とか書いたあと、書く事がなくなった。どう話を広げればいいのか分からなくなったのもあって。仕方ない、次の段落で補助線になりそうな話でもするか。

 32年前、オレがゲーセン通いをはじめた頃、とあるゲーセンの交流ノートで要らん事を書いてしまった。そこのイラスト系常連に「エロ絵やめろ」みたく……。当時は宗教に引っかかっていたから、そう言う事が正義だと思っていたのだ。当然袋叩きに遭い、しまいには「イラスト描いてる人の事、何だと思ってるの?」とまで。オレはこの言葉に揺さぶられた。本音では「神に仕える事」より「好きに(エロを含む)絵を描く事」を欲していた*2からな。しかし今、エンタメ表現規制に賛成する者に同じ事を言ってもどうしようもない。「絵を描きたい」と思っていない者が多いし、連中には。だが、かつてのオレ同様「いい事してるんだから、いい結果が出るはずなのに」とは思っていそうで。だから最初の段落で「善意はあるがそれだけで、善意を実現するための思慮が大いに欠けている」と言ったんだよ! むかしのオレを見ているみたいで、辛いから! してみると、むかしのオレもまた「血も涙もない善人」だったのかも知れん。トホホ。

 と言うか、オレはこの件に触れるべきではなかったのかもな。オレ程度の論に立ったエンタメ表現規制反対派は、馬に食わせるほどいるだろうし。……そいつらも2ちゃんねる的なネット露悪文化に染まって、大喜利で話題を消費していたら意味ないが。無力な善意と露悪しかないんか、この件には! これじゃエンタメ表現規制賛成派と反対派の共倒れしかないぞ……。わたしゃ、なんだか泣けて来ましたよ。裕木奈江の言う「自由な娯楽を楽しむには一定以上の知性が必要で、そうでない者には悪影響しかない」的な傲慢な物言いに「血も涙もない善人」っぷりを感じたとか、言いたい事はまだあるけど、言ってどうなるものでもなし……。嗚呼。でも、最後に言わせてくれ。『光速エスパー』のコミカライズで有名なマンガ家「浅野りじ」が書いたマンガの描き方の本に「悪いマンガをなくしても世の中はよくならないけど、世の中がよくなれば悪いマンガもなくなるよ」みたいなくだりがあるそうな。同感である。

*1:現在、そのツイートは消えたようだ。

*2:それは物凄くややこしい心理で、おまけに話の本筋からも外れるので詳述はしない。