走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

『サルまん』を疎んじていた理由(わけ)

 賢明なる閲覧者の皆さんはお気づきかと思うが、オレは長年『サルまん』を疎んじていた。理由は簡単、露悪的かつ「マンガを描く者」を小馬鹿にしたような筆致が嫌だったとしか。30年以上経ち、今の相原コージ竹熊健太郎両氏に恨みはないが……。最近もツイッターで引用される「カラダなんてものはだな……見て描きゃいいんだ!! 見て描きゃ!!」ってコマは、資料の大切さをギャグにしたものだったのに、そこに気づけなかった自分が嫌になる。とか書いていたら、急に具合が悪くなって来た。なのでサルまんについての文句はこれ以上言えない。体調が余計に悪くなりかねんからな。そうでなくてもオレは最近、何につけ文句を言うのが辛くなって来ているんだし。

 とは言え、サルまんに言いたい事はある。細かい事は忘れたが「五線譜に書ける音符には限界があり、だから人間が作れる音楽にも限界がある」と言って自殺した音楽家の話を持ち出した時にはげんなりしたとかな。あと知恵だが、それじゃ『4分33秒』みたいな音楽の試みはどうなる……。とかぐずぐず言っても、実際にサルまんへのアンチテーゼを描き得なかったのが悔やまれる……。サルまんの「動物マンガの動物は、何を食べているのか?」と言うネタへのアンサーとして『南国少年パプワ君』で「君の死はムダにはしないよ!」と言うギャグを描いた柴田亜美の方が、どんなにか。あれを見たときゃ「やられた!」と思い、心底悔しかったなあ……。それでもイジイジとマンガを描いてるオレ。自分の描きたいものを描かねば、今死んでも死に切れんのだ。とか言って、最近はネーム半ページだけでしんどくなるけどな。ちくしょう。いやいや、まだあきらめちゃいけねえ。

 マー、サルまんに対していい印象がなかったのは、ファミ通の「ドラクエ・FF(ファイナルファンタジー)をぶっとばせ!」と言う酷い記事で知って、げんなりしていたからだ。ファミ通の誌面に流れる、ある種の露悪趣味にもうんざりしていたけど……。「なら、なんでサルまん読んだのよ」と言われそうだけど、いろいろあったとしか。しかしなー、オレはこれからどうやって世の露悪主義と戦えばいいんだ。それと切り結ぶ余力も、味方を増やすスキルもない。トホホ。