走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

あえて『翔んで埼玉』をdisる

 人気作品をdisるなんて、悪目立ちにもほどがあるような気がしてならないが、あえてやる。

 ガキの頃読んだ『翔んで埼玉』に、ある種の違和感があった。レジスタンスものの側面もあったんだが、作中の埼玉disがいやだったんでしょうなあ。『ルパン三世』で描かれたアパルトヘイトや、『ウルトラセブン』の「第四惑星の悪夢」もいやだった*1し。広島のラジオ番組『ラジプリズム』の部長(パーソナリティ)は再発見について、「愛ある地方disブーム」に乗ったのも一因と言っていたが、『翔んで埼玉』が最初発表された時期には愛のない埼玉disが流行っていて、その前後だかにみなもと太郎さんはこんな感じの一文を書いている。

昔のマンガには「キチガイ、カタワ、メクラ、チンバ」と言った言葉が出ていたが、そこには悪意はなかった。今のマンガには「埼玉、千葉、名古屋」と言った言葉が出て来て、そこにははっきりと悪意がある。

 みなもとさんの言う「昔のマンガ」に出て来た言葉に、本当に悪意がなかったかはオレには確認出来ないが、こんな意見もあったのですよ。ラジプリズムで『翔んで埼玉』が「語ってみた」の中で扱われた時も、一部表現をソフトにし、やや短くしてツイッターの番組ハッシュタグで言った*2けどな。

 時代が流れて、『翔んで埼玉』を当の埼玉県民や県知事までが笑って許せるようになったから、いろいろ映画化などの動きもあったんだろうけど、オレにはまだ違和感がある。ちなみに映画版は観てないから、ここまで原作だけの話をしている。劇中の埼玉(と言うか日本)の描写は現実のそれとは違うとは言え、アパルトヘイトそのままの地方disは(繰り返すが)オレには辛かった。

 ここでふたたびラジプリズムの話をするけど、映画版がヒットした報を受け、その時また部長が言及したのだが、「埼玉には何もないと言うけど、さいたまスーパーアリーナがあるじゃないかよ! それに比べりゃ広島の方が……」と、血を吐くような叫びを。マー、自虐ネタなんだろうけど。それを聞いてオレも、「呉には戦艦大和以外、何もない!」と番組ハッシュタグに書いちまったよ。それはいいか……。

 あと、『翔んで埼玉』の埼玉ネタもまた、東京とその近郊の感覚がマスメディアを動かしていた時代の産物な気がして……と、書いたところで、「同じ魔夜峰央の作品でも、『美少年的大狂言』の右翼野郎、寺限丈太郎が祭り上げられるよりはマシか」とも思った。つーかオレは、魔夜峰央作品ではパタリロのようなガキや妖怪や可愛い動物がわちゃわちゃしたり、落語ネタをやったりするところが好きなんだよ。『翔んで埼玉』にはそれもない! だからなおのこと楽しめなかったのかも。ところで魔夜峰央と言えばファミコンソフト『エリュシオン』のキャラクターデザインをしたことが。ニンテンドースイッチバーチャルコンソールで、再販されんかな。キャラクターデザインは魔夜峰央だと知っているけど、全然やった記憶がない! マリエ(魔夜峰央の娘)さん、なんとか再販の話を取り付けて下さいよ。あるいは、キャラクターの画集を出してくれるとか。

*1:「第四惑星の悪夢」は、桑田次郎のコミカライズを先に読んでから見たので、そっちとのギャップに耐えられなかったのもあるだろうが。

*2:約140文字で書かねばならんのと、番組聞いている未成年者に配慮したのとでとった措置だ。