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超神マスターフォースに関する考察

 YouTubeで、トランスフォーマー(以下、TF)の日本国内アニメ第4作『超神マスターフォース』(以下、マスターフォース)が公式配信されたので、第1話を見ての感想を軸にちょこちょこ考察してみる。

 マスターフォースは、TFのテレビアニメが日米合作から日本独自の制作になってからの2作目*1で、前作『ザ☆ヘッドマスターズ』までとの関連性は意外と薄い。これは「人間がトランスフォーマーになる」と言うコンセプトを前面に押し出した故の、乖離かと思われる。だがそのコンセプトによりマスターフォースは、変身ヒーローもののテイストを含む事になる。TFは日米合作でオモチャを売っているが、同時期の海外展開は「人間とトランスフォーマーの共闘」がメインだったのとは対称的である。マスターフォースの第1話配信へのコメントに「今回に比べると、2010まで*2のモブは強い」みたく書いてあったが、そこも含めてアメリカのヒーローものは「まず人間ありき」なのね*3と妙な感慨を。

 さておき、1話ではレギュラーキャラのひとり剛秀太(ごう・しゅうた)がバイクを操るシーンがあって、長年秀太を小学生くらいだと勘違いしていたけど、違うと判明し驚いている。あと、バイク乗ってる秀太を見て、原作版『マジンガーZ』の兜甲児を思い出した。なんとなく髪型も似てるし。それで思ったのだが、マスターフォースでは往年のヒーローものの集大成でもしたかったのかも知れん。いえね、ウルトラマンみたいに宇宙から来たプリテンダーと、仮面ライダーみたいに人間が変身するヘッドマスターJr.とゴッドマスター、そしてトランスフォーマーは変形ロボだから、当時の主だったヒーローを押さえているように思えて。こう書くと、ウルトラマン仮面ライダーと、トランスフォーマーとは違うロボットものではあるがガンダムが共闘するバンプレストの「コンパチヒーロー」路線みたいなものを先駆けていた気もする……。「なんかずいぶん、マスターフォースの肩を持つね」と言われそうだが、むかしは違和感大爆発だったのよ。しかし、オレも齢(よわい)を重ねて油が抜け「これはこれで」みたいな受容が出来る余裕が生まれたんだ。あと、マスターフォースの初放映時は思春期かつ家庭環境も人生も大荒れ。のめり込む余裕なぞなかった! トホホ。

 自分語りはさておき、マスターフォースの話の続き。「人間がトランスフォーマーになる」コンセプトにより善玉のサイバトロン側のプリテンダーは「普通の人間に擬態出来るトランスフォーマー*4となった。んで、海外でもプリテンダーは出てるんだけど、こちらも人間などに擬態するが、アウターシェルと言う「ガワ」を付ける巨大ロボット*5と言う設定である。つまり普通の人間と言うより、巨大なヒューマノイドタイプの宇宙人に擬態……。アウターシェルはアウターシェルで、自ら動けるものもあるみたい。海外版プリテンダーのイメージは、マスターフォースの翌年の日本独自アニメ『トランスフォーマーV』(Vはビクトリーと読む)に出て来た「恐竜戦隊」*6が近い。マー、海外のプリテンダーモンストラクターと言う連中のアウターシェルを、武装した恐竜に変えたキャラなんだが。んで、このプリテンダー、海外で人気だったらしく、結構いろいろ出ている。それに伴いアウターシェルも人間や怪物や武装した動物だけでなく、いろいろ強烈になって行くが。頭ふたつのヒューマノイドやら、半裸のおっさんやら、タコ人間やら……。そんな中、マーベル社のアメコミ*7で活躍したドクロの面の鎧武者のアウターシェルを持つ「ブラジオン」は人気が高く、のちに何度かアウターシェルをモチーフにした新商品が作られるほどだ。オレも、海外のプリテンダー勢のトンチキさが好きでねえ。あと、マスターフォースの1話には前述のヘッドマスターJr.もゴッドマスターも出ておらず、プリテンダーとデストロン側の雑兵「シーコンズ」しか出てないから、いきおいプリテンダーを詳述した。

 ところで、2話から登場するキャブと言う登場人物、当時TFに深く関わっていた金田益実氏の言からすると『ゲゲゲの鬼太郎』テレビアニメ3期の頃コミックボンボンに連載されていた『最新版ゲゲゲの鬼太郎』に登場し、のちにスピンオフマンガも描かれた「地獄童子*8がモデルかも知れない。また、金田氏が原作を務めた『キングカーメン』と言うマンガも、マスターフォースのイメージが被る。むかしはそれらを知ってモヤモヤしたが、前述のように齢を重ねて油が抜けた今は受容出来る。なんでこんな心境の変化が起きたのかは分からんが。

 この話、マスターフォースの配信を見続けられたら、また続くかも知れない。

*1:ちなみにこの体制は、次作『トランスフォーマーV』(Vはビクトリーと読む)で一度中断される。

*2:前述の、日米合作の頃のアニメ。

*3:余談だが、東映スーパー戦隊シリーズの海外展開『パワーレンジャー』の制作現場でも、最初にアメリカ側から「ロボ戦いらねえだろ?」と言う声が上がったのも、人間ありきと無縁ではあるまい。

*4:悪玉であるデストロン側のプリテンダーは、怪物に擬態。

*5:ロボット形態のトランスフォーマーの身長は最初のアニメで標準的な連中が「8メートル」前後とされる描写があったので、たぶんそんなもんとオレは思っている。

*6:こんな名前だが、コセイドンともジュウレンジャーとも関係はない!

*7:アメリカでは1987年にTFのテレビアニメが一度終了し、メディア展開の中心がアメコミになった。

*8:『最新版……』にも金田氏は関与し、地獄童子のスピンオフマンガの原作も手がけている。