走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

いやあ、比治山を登るのは辛かった

 昨日、思うところあって広島市現代美術館の特別展『式場隆三郎[脳室反射鏡]』に行って来た。舗装されてたとは言え、全長500メートルもの山道を歩いて行くのは辛かった*1けど、行った甲斐はあった。山下清草間彌生を見出した人と言う事しか知らんかったが、式場の人生とその周辺の人物があまりに面白かったのを知れたのはよかった。ところで、山下清のいた八幡学園の生徒による絵画の展覧会が昭和15年に新潟のデパートで開かれ、それを告げる新潟毎日新聞の記事で、精神科医*2が「正気と狂気の区別はない」みたく言っていた。ナチスドイツではT4作戦が実行された頃に、これは随分進歩的な発言ではないか。オレもサブカルビジネスセンター(以下、SBC)で描いてる4コママンガで「正気」とは何だと読者に問いかけたが、今から80年前の精神科医がこんな事言ってたとは。ただ、80年前の精神科医だから、精神障がいと知的障がいが微妙に混同されてないかと言う気はしたけど。それは、展示されていた式場による雑誌記事でもそう言う傾向はあったんだが。そこは今は置いといて、昭和15年と言う時期の知的障がい者や精神障がい者に対する風当たりを考えると、前述の精神科医の発言はなお重い。とは言え、あまり「この子たちには、こんな才能があるんですよ」みたいに喧伝するのもなあ。ナチスドイツのT4作戦や、西暦2016年に起きた「やまゆり園事件」を考えると……。世の中には、際立った才能のない障がい者も多いし。

 ところで以前、下記記事でSBCを「21世紀の式場隆三郎」なのではと言った事があったが、特別展を見たあとだと式場は式場で、SBCはSBCではないかと思うように。式場は日本でゴッホを紹介したりとアート寄りな人なのに対し、SBCはエンタメをやろうとしているからなあ。

a-katu.hatenablog.com

 この記事の最後に、式場が実地検分をした事もある奇怪な建築物「二笑亭」だが、見ていて荒木飛呂彦変人偏屈列伝』での「ウィンチェスターミステリーハウス」を思い出した事を書いておく。二笑亭の方はあっという間に取り壊されたが、それを作った人物もまた、見えないなにかと戦うために作っていたんと違う? と言う妄想が出てねー。なんでそんな話をするのかと言うと、特別展の内容があまりにいろいろありすぎ、絞り込むのに苦労したので……。

*1:観光バス「ひろしまめいぷる~ぷ」でも行くことは出来たはずだが、残念ながらコロナウイルスの影響で、現在運休!

*2:式場ではない。