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克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

模造された悪



https://twitter.com/gestaltgeseltz/status/1134826411405893632


 この一連のツイート、統計の見方がちょっと気になるが、メディアが模造された絶対悪*1みたいなものを作ろうとしているのではと言う懸念には首肯する。30年前、宮崎勤逮捕からのオタクバッシングや、それに便乗した連中の事を思えば、ない話ではなさそうだし。

 悪なんて模造せんでもそこかしこに転がっている気はするが、そこかしこに転がっている悪……つまり人間の内側の悪を見たくなくて、何かに押し付けなければ生きていけないのが「普通の人」ならば、「普通の人」の方がより罪深く恐ろしい存在なのでは? オレだって、自分の内なる悪を直視出来てないかも知れん。だが、「普通の人」が自らの「普通の暮らし」を守るために、いくらでも残酷になる怖さは痛感しているつもりだ。みんな、本当にこれでいいんか? それは今はおいといて、「模造された絶対悪」ですよ。30年前、オタクを「模造された絶対悪」の座に据えようとしたマスコミには、言いたい事がいろいろある。コミケに対し「ここに十万人の宮崎勤がいます!」と言ったってのは都市伝説っぽいが、東海林のり子日野日出志に向かって、「取材に応じなければ、こちらで好き勝手言いますよ!」と恫喝そのものな事を言ったとか、これはオレが当時テレビで見た*2のだが、実際に若いアニメファンなどを集めてミーティングみたいな事をしていた時、おおむね事件に対し憤りを見せていたのに、最後の方で「でも、小さい子が可愛いと言うのはありますよ」みたいな事を言った途端、その後も何か言っていたような感じだったのにスタジオに戻して、その発言をコメンテーターが「気持ち悪い」のなんのと……。これでこの件に対するマスコミの反応は信じられないと強く思った。全くもって、「模造された絶対悪」を作り出そうとする時のメディアの力はどれだけ恐ろしいか。いや、もっと恐ろしいのは、そう言う事件報道を見て安心して生きる「普通の人」の方か。しつこいけど。

 「オタクバッシングに便乗した連中」とは、宮崎勤事件のあと、オタクをバカにして原稿料を稼いだ物書きやマンガ家だ! 石堂淑朗とか、ビッグ錠とか、田中しょうとか、山科けいすけとか、のむらしんぼとか……。オレが覚えているだけでこれくらいだ、当時のマンガ誌やら「オピニオン誌」やらを漁ればもっと出るだろ。しかしながら、そんな奴らを食わせたのは、「模造された絶対悪」を求めて安心している「普通の人」ではある。そっちの方がよっぽど気持ち悪いよ。重ねがさねしつこいけど、こう言う事はしつこいくらいに言わねば誰にも届かないのでね。マー、オレの方が「普通の人」を「模造された絶対悪」にしようとしていないかと言われたらあれだが、川崎の通り魔やら、元農水事務次官による子殺しとかに言われたいろいろな聞くにたえない言葉が、絵に描いたような悪人から発せられたわけじゃないと言うのを考えると、「普通の人」の残酷さは一番手に負えないのではないだろうかと……。

*1:アンリマユとは、ゾロアスター教における絶対悪の神。

*2:番組名も放送局も、覚えていないが。