走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

「泥田坊と命と大地」雑感

 5日の『ゲゲゲの鬼太郎』、「泥田坊と命と大地」について思った事をつらつらと。今回の泥田坊は、30年前*1に一度自らの土地をゴルフ場にしようとした人間に怒り暴れるも鬼太郎に一旦倒され、そのゴルフ場が破綻しメガソーラー発電施設建設が始まってふたたび蘇り、人間をまた襲うのだが……。鬼太郎も30年前は人間側の身勝手さに怒るが、今回は複雑な心境だったようだ。30年前に助けた子どもがメガソーラー建設の社長になり、その子どもにまで累が及ぼうとしていたりいろいろあって。

 ただ、オレには今回は一概に人間側が悪いと言う気がしないのだ。人間は時代が変わっても生きて行かなければならないと言うのを、劇中で言外に語っていたし、泥田坊の元ネタの説話*2自体、「怠けずに、黙って田んぼを耕せ」と言う、江戸時代のお上に都合のいいもの*3だし。泥田坊は、鬼太郎に豊かな稲穂の実りをたたえた土地の幻を見せるが、それを見たオレは別の作品の別の妖怪の事が頭に浮かんで。『ウルトラマンティガ』のオビコなんだけど。オビコは巨大化して街を破壊しながら、むかしそこにあった風景を懐かしむが、それを見た防衛チーム「GUTS」の隊員のひとりが叫ぶ。

「やめろー! そんな事をしても、もうむかしの風景は戻って来ないんだぞー!」

 今回の泥田坊に引っかかるものを感じたのは、オビコの件を見たあとだったからなんでしょうなあ……。いろんな事を知ると、見方もそれなりに。

 マー、スタッフも今回は見る側にいろんな意見が出る事を想定して作ったように思える。かつて、『一休さん*4で最後に「面白かった? じゃーねー」ではなく「どうだった? じゃーねー」と視聴者に問いかけたシビアな話のように……。

 しかし、こう言う話が出来る相手がほとんどおらん! ツイッターではここまで込み入った文章は書けないし、そもそも連絡がとれる相手のうち、鬼太郎を見ている者がどれだけいるか。いるにはいるが、なかなか返事来ないし。……いかん、話をまとめられなくなり、こんな落とし方をしてしまった!

「どうだった? じゃーねー」

*1:つまり、バブル経済の頃。

*2:劇中では、ねずみ男の口から語られる。

*3:それを言ったら、今期鬼太郎の50話以降関わって来る地獄と言うものも、山上たつひこの言葉を借りれば「その時代の『差別』と密接に関わっているもの」なんだが。

*4:言うまでもないが、東映アニメーションが、東映動画だった頃の作品だ。