走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

「かわいそうじゃない!」

 むかし、兄に藤子・F・不二雄のSF短編集を読まされ、感想を聞かれたので「登場人物が酷い目に遭って、かわいそうだ」と言ったら、「かわいそうじゃない!」と一蹴された。兄と異なる意見を述べたから怒ったのか、フィクションへの感情移入の度合いが兄と違っていただけなのか。いずれにせよ、「かわいそうじゃない!」の一言でオレはすっかり萎縮し、のちに宗教に走ったのだが……。こんな目に遭う前に、マトモに話を聞いてくれる相手がいたならなあ。悔しいなあ。

 こののちゲーセン通いをするようになって、そこで知り合った相手と話をしていた時、オレが「兄がなんて言うか」と言ったら、その相手は、「兄さんは兄さん、君は君」と言った。そこに至る経緯は忘れたものの、この言葉は印象に残っている。今までそんな風に考えた事なかったので。もっと早くそんな風に考えられたなら、兄との意見の違いをオレは受け入れられたものを。「人に支配されまいとするのは、人を支配するより難しい」と言うが……。