『パタリロ!』で、祖母に酷い目に遭わされてあわや祖母に害をなそうかと言う少年に出会ったパタリロが、一計を案じ両者のわだかまりを取り除いた話があった。計略が図に当たり、祖母への恨みがなくなった少年に、パタリロは「憎しみは憎しみを生み、愛は愛を生む」と言った。それを読んだガキの頃のオレは、「どんなに酷い目に遭わされても家族を愛そう、そうすれば分かってくれる」と思った。そして家族の無体な仕打ちに耐えた……。
でも違ったんだ! オレはあの時家族を愛していたんじゃない、家族に支配されていただけだったんだ! 支配されている事を自分の中で納得させようと、パタリロの台詞に飛びついただけなのかも知れない。被支配者は、理不尽な支配を受け入れるために自らを騙す事もある。そう言う事に気付いていれば、オレはもっと早く自由になれていたのに……。今は家族の呪縛から大分解放されたが、かえすがえすも残念な話だ。
そして今の日本や世界を見ると、理不尽な支配を受け入れろと言う圧力がなんと多い事か! 全く嘆かわしいですなあ! とは言え、今のオレはその圧力をどうする事も出来ない、トホホ。いや、自分がその圧力に潰されないようにする事は出来ますけどね、圧力をかけている勢力を弱めたり覆したりは出来んし……。