走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

訃報と恐怖と安心と

 野坂昭如の訃報で、彼の著作はまだアニメ版を表紙に使う前の『アメリカひじき・火垂るの墓』しか読んでない事と、表題作を除けば『死児を育てる』が一番頭に残った事を思い出した。これ、親が子を殺す描写がある話なんだよな。

 それでさらに思い出したが、松本清張の『鬼畜』の映画版とか、永井豪の『ススムちゃん大ショック』とかにも親が子を殺す描写があるんだよな。幼い頃は、そう言う話に筆舌に尽くしがたい恐怖を覚えたものだ。それを家族に知られたら、「所詮ドラマ(フィクションと同意)じゃないか」と一笑に付されたり、「マンガと現実をごっちゃにするな!」と逆ギレされたり……。『死児を育てる』は、カルトに洗脳されたあと読んだので、恐怖は感じなかったけどな。やな安心だな。

 家庭を顧みたら、自分が親に殺されるとか捨てられる恐怖にはそれなりの根拠はあったと思うが、いかんせんガキにはそれを説明出来る能力はない。嗚呼。

 話をカルトの洗脳で安心していた所に戻すけど、そんな安心より健全に恐怖を抱いていた方がいいのかも知れん……。

 あと、家族にマトモに相手にされなかったのとその時の言葉は、ねじれねじれてのちに表現規制反対活動に首を突っ込んだ時に少しだけ役に立ったのかもな。