走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

それにしても、濃ゆすぎ!

 一峰大二の『プロレス悪役シリーズ』の電子書籍版が安かったので全5巻購入。読み進めているが、あまりの内容の濃さに圧倒され、現在3巻のキラー・バディ・オースティンの回までで挫折。梶原一騎実弟真樹日佐夫の原作で、無茶な作風で定評のある一峰大二作画なんだから、濃くないはずがない! くおお。

 今のところ一番印象深いのは「空中の悪魔」と言うエピソード。空中殺法を得意とする南米の悪役レスラー「アントニオ・ロッカ」とジャイアント馬場の試合が描かれ、いったん両者が場外に落ち、馬場がリングに戻れず惜敗する。馬場は先んじてロッカとの試合で命を落とした柔道家の仇撃ちを果たせず無念を抱えて日本に帰るため空港に向かうも、その途中で身体障害児童の家(と、何故か漢字で書いてある!)において、そこの子どもたちに厳しい歩行訓練をするロッカの姿を発見し感動。「やぶれて くいの ない あいて だった…」と言い残し去って行く。この話の読後、昔ファンロードのハシラで紹介された、たのしい幼稚園タイガーマスクの最終回を思い出した。なんでも、馬場とタイガーが試合し、時間切れ引き分けと言う内容だったとか。タイガーも「社会から見捨てられた子どもたちのために戦う(元)悪役レスラー」だし、なんらかの影響はありそうで……と、思っていたら、一峰のプロレス悪役シリーズは昭和38年頃に少年サンデーで連載された梶原一騎による絵物語『プロレス悪役物語』からの流用が多いみたい*1だったのよね。梶原と真樹は創作において一心同体なところもあったし、なんともはや。兄弟揃って「見てきたような嘘」をついてまあ……。

 前の段落で「見てきたような嘘」うんぬんと言ったのは、最初に述べたキラー・バディ・オースティンを扱った「のろわれた金髪鬼」の内容からである! この話、のちに梶原原作の『空手バカ一代』にも出て来るオースティンと梶原・真樹兄弟のケンカから話がはじまるのだが、途中からトンデモな方向に行くのだ! あまりな内容で「空中の悪魔」みたいな要約も出来ん! なんて兄弟じゃとしか言いようがない! 嗚呼。こんな濃いマンガを読み続けて昔のガキは頭おかしくならなかったもんだと思ったが、昔の少年少女向け雑誌には怪しい話*2のオンパレードだったから、プロレス悪役シリーズもその一部だっただけか。してみると梶原・真樹兄弟も、児童文化の送り手として再発見した方がいいかも知れない……って、別に金にもならんのに、長口舌せんでもよろしい。

*1:プロレス悪役シリーズは、昭和44年から冒険王で、これまた『プロレス悪役物語』名義で連載されていた!

*2:怪奇・オカルト系の実録ものとか、胡散臭い広告とか……。