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克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

いきなり電子書籍マンガレビュー『天使と悪魔が学ぶ不道徳の授業 1時間目』

 このマンガは、作者の「えしま長月」氏が社会的にいい(あるいは悪い)とされる事に対する反証を、マンガで描くシリーズの一作目。そう書くと筒井康隆の小説の「悪い事っちゅうのは、ほんまに悪い事でっしゃろか。ええ事っちゅうのは、そないにええ事でっしゃろか」と言う台詞みたいだな、なんか。さておき、今回はオーストラリアで2024年に可決された「16歳未満の者のSNS使用禁止」法案について。今回は「いい事」への反証なんで、登場人物の悪魔が主に喋り、天使は聞き役だった。回が進むに連れ、天使が主に喋る時もあるのかな。

 今回は「子どもを縛る大人」の理不尽さや問題についての批判でもあるが、何度かこのレビューを書くため読み直したところ、それだけでは説明不足な気がした。オレもそんなに詳しくはないが、InstagramTikTokの利用者(子どもとは限らない)が引き起こしている問題に対する大ナタとしての側面もありそうで。一方、この法案を通したオーストラリアと言う国は、90年代の終わりに「白豪主義」復活を目指した政治上のバックラッシュが起きた*1ので、その後の情勢にそれが影響してないか気にはなる。当時のオーストラリアがよりグダグダになったのが今のアメリカな気はするけど、脱線しそうなんでそこは割愛。

 作中の後半、SNSから引き離された子どものアカウント保護問題について触れていたが、そこについては「仮に今10歳の子のアカウントがあるSNSが、6年後残っているか分からんぞ! 今の世の中の動きを見ると」と思った。その意味では、オーストラリアの法案は「とりあえず禁止しとけ」で、問題の先送りで事態をうやむやにしようとしてる気もする。

 いろいろ述べましたが、えしまさん次回も期待してますよ。

*1:確か美味しんぼの「オーストラリアの危機」と言うエピソードに詳しいはず。