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克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

いきなり電子書籍マンガレビュー『僕の彼女は左利きのマイノリティ』

 去る3月20日の「創作同人電子書籍」いっせい配信にて、なかせよしみid:y_nakase)氏が配信した『僕の彼女は左利きのマイノリティ』についてレビューする。左利きの女性「千鶴さん」の彼氏である「僕」(名前も顔もハッキリしない)の視点から、千鶴さんの左利きとしての生き方やマイノリティについて考えさせるマンガだ。オレも左利きだから、作中の「左利きあるある」には共感して読めた。Xでもそれは言及したが、そっちでは字数の関係で言えなかった事や、繰り返し読む事で気付いた事を、この記事では書く。ネタバレもちょっとあるので、ご容赦。

 作中で千鶴さんは「基本的に世の中と上手く付き合っている」のだが、再読していて「それは右利き主体の世の中で、その分労力を使い生きてるって事でしょう?」と思った。これは他のマイノリティにも言える事だろう。また、あとがきに添えられた2コママンガには「マジョリティの配慮が、マイノリティの自由をかえって奪う事がある」点について言及していた。確かにねえ……。

 ところで、なかせ氏も左利きと思われる*1が、彼はオレより育ちがいいのか右利きが左利きを責めていた側面には触れていなかったな……。オレは色々あったんだ! 仕事で書き物していたら「わざとやってるのか?」と言われたし、そいつからは「昔はみんな右で書いていたんよ、左で書いたらバカにされた」とまで。流石に「昔は昔、今は今だろうが!」と、言い返したけどな。オレが似たようなテーマでマンガ描いていたら、そう言う事を描いてやたら攻撃的な内容になっていたに違いない。『X-MEN*2にたとえたら、なかせ氏がプロフェッサーXで、オレがマグニートーか。

 話を戻そう。あとがきの言葉を借りれば、マイノリティはマジョリティに取って代わりたいんじゃなく、存在を忘れて欲しくないから自己主張せんといかんのに、世間はそう言う事を認めてくれん。いい(悪い?)例が、ドナルド・トランプの返り咲きだ! 何がMAGAだ! ……いかん、こう言う話になると、つい怒りが込み上げていらん事を。くおお。『僕の彼女は左利きのマイノリティ』は、左利きが認められて来ている今だから描けたマンガだと思う。昔はマンガでもいい扱いではなかったからなあ……。ドラえもんでフエルミラーから出て来た、もうひとりののび太に勉強させようとするのび太のママが「いつからえんぴつを左で持つようになったの!」と怒鳴るシーンとかな。幼心に傷ついたぞ、地味に。

*1:過去のマンガで自身を登場させた時、左手でマンガを描いておられたので。

*2:これもマイノリティ問題を隠喩したアメコミだ。