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克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

楳図かずおによる、最も恐ろしい話

 『14歳』や『残酷の一夜』より、この実話が一番恐ろしいわ。それを受けたオレのツイートは以下の通り。

 そう、楳図かずおとは逆に、下手にキャリアを積んだ編集者に潰されたり心をポッキリ折られたりした若手や新人も少なくない気がして。ここからは余計な事かも知れないけど、編集者の暴言以外にも「褒められる事が少なかった」のも断筆の一因と新聞で語っていたけど、彼の得意としたホラーと言うジャンルは「褒めにくい」ものではないかと。人が無惨に死んだり、世界が滅んだりな話では……。たとえば前述の『残酷の一夜』なんか、未来の人間が若夫婦の間に生まれて間もない赤ん坊を、成長したら殺人鬼になると言うので先回りして殺す話ですからね……。読後に「楳図よ、お前は石堂淑朗か!」と言う怒りが……。「なんでそこで石堂淑朗が出るのよ」と言われたら、石堂は佐川一政宮崎勤は未熟児として生まれたから凶悪犯になったので、未熟児は殺せと言い放った事がありまして……。石堂の暴言を知ったあと『残酷の一夜』を読んじゃったものだから、つい。『残酷の一夜』は、今はなき朝日ソノラマの「楳図かずお こわい本」シリーズの『神罰』と題した巻に収録されてたの。読んだおいらが悪いのか、描いた楳図が悪いのか……。こう言う優生思想丸出しの話は、賞を取りにくかろう。オレも『残酷の一夜』を読んだあと、しばらく楳図作品が嫌になりもうした。それはそうと「ホラーは褒めにくい」ってのに「でもそれは、あなたの感想ですよね?」と、ひろゆき構文を持ち出されたら「そうですよ、でもそれがどうしたと言うんです?」と返すしかないが。しかしおおっぴらに褒めにくいジャンルのマンガは間違いなくあって、そう言うのも含めてマンガなのだろうけど。これは、米澤嘉博のウケウリだけども。

 「褒められる事が少なかった」件についてもう少し。楳図はかつて、まんだらけの目録に掲載されたインタビューにおいて「手塚治虫は俺たちの描いた恐怖マンガを批判しながら、あとで『どろろ』なんて描きやがった。そう言う事するから、あいつは嫌い」と言っていたっけ。先輩に功績を横取りされる格好になったのでは、そりゃ辛かろう。マンガ家の端くれとなった今では、我が身に降りかかって欲しくない分、より気持ちを酌まんととは思う。オレは今、マンガを生涯で一番描いてる時期なので、マンガ家の端くれだと吹聴している。すまんね。話を楳図に戻そう、楳図作品で一番よく読んだのは『ウルトラマン』なんだよな~。しかし、あれに出て来るバルタン星人の描写は、迫力はあるが飯島敏宏や成田亨には耐えがたいものだったんだろうなあ……。成田はのちに『ウルトラマンパワード』のバルタン星人をデザインした人物*1に対し「バルタン星人をあんな風にしたのは、あなたですか」と詰問したそうだが、それは楳図にも言いたかったに違いない。そういや楳図は『まことちゃん』で、ウルトラマン猫目小僧などのピンチを「マッチョメマン」と言うキャラクターに救わせるシーンを描いたけど、今じゃ絶対出来んだろうな……。さて問題です。ここまででこの記事には、何作楳図作品が出て来たでしょう? ただし作品名を記すカギカッコを付けなかった、猫目小僧は除く。正解者に何も出せませんが、付き合ってくれ。最後に、文中敬称略。

*1:前田真宏だったか?