走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

「機械とは言え、ジャスティスは都民を救った英雄だからね」

 題名はテレビアニメ『正義を愛する者 月光仮面*1で、怪獣化したマンモスコングを退けた巨大ロボット「ジャスティス」を日比谷公園に展示する事になった時の、登場人物の台詞の抜き書きである。なんでこんな事をしたのかと言うと、月光仮面などの原作者、川内康範の「川内イズム」の知られざる一面への考察をしたいからだ。

 結論から言うと、川内康範のヒーローものは「劇中で起きている事を、ヒーローに丸投げしているわけじゃない」のだ。上手く言えないけど、劇中の事件に対抗する者がヒーローの他にもいて、ヒーローが助太刀したり反対に助けられたりがあるのだ。「劇中の事件に対抗する者」と言うのは、最初に述べたジャスティスの扱いの他にも実写版月光仮面の「パラダイ王国の秘宝」編において、サタンの爪より先に秘宝を手に入れようとする人たちの姿を割りと丁寧に描いていたのが挙げられる。月光仮面はあくまで「助っ人」なんだよな、作中でも。

 川内は恐らく「世の中の事件は、私たちひとりひとりの問題だ」と考えていて、それは実家が日蓮宗の寺である事と無縁ではなかろう。日蓮宗は、社会問題に関わる事も信仰のひとつみたいなところがあると、以前どこかで聞いたし。故人である川内の内心はもう分からないから、この話はここまでにしとこう。話を川内ヒーローに戻すが、今のヒーローものも劇中の事件に対抗する者をきちんと描いてヒーローにも出番を与える作劇をやれば、毛色の変わった作品になりそうで。あわよくば「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」と言う、インターネットミームを蹴散らしてくれないかしら……脱線脱線。「あんたはやらないの?」と言われそうだが、書いていてオレの視座と川内のそれとでは、大きく違うのが分かって来たからねえ……。具体的に言語化出来ないけどさ。

*1:昭和47年に放映された、月光仮面のアニメとしてのリメイク作。