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克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

『マンガの歴史』買いました

 この記事で触れた、みなもと太郎『マンガの歴史』1巻(以下、同書)買いましたよ。「岩崎調べる学習新書」と言うレーベルだから、置いてあったのは広島市内の丸善の児童書コーナー。もともとこのレーベルは子どもの調べ物学習のためと言う体裁だから、結構雑と言うかみなもと先生の『元祖日本漫画大辞典』よりは掘り下げは浅いが面白い。しかしマンガの源流としての絵巻物の解説として「一つの画面の中で、まるでゲーム画面の横スクロールのように画面が変わっていきます」(同書10〜11ページより)とあるが、スクロールって巻物の事ですよ先生。あと、何の説明もなく「萌え」と言う言葉が121ページで使われていたのも気になった。そこを調べるのがこの本の目的と言われればそれまでだし、帯に「マンガ家 マンガ編集者 マンガ読者必携の一冊!!」とあるので、児童書の体裁を取っているが実は大人向けの可能性もあるけど。「粗捜ししたいだけかお前は」と言われそうだが、気になった箇所を挙げたまでだ。

 戦前のマンガ史についても、杉浦茂がアニメーターとして徴用された事とかいろいろあるんだけど、そこも調べてたどり着けってか。1巻で触れられなかった月刊の少年マンガ誌で活躍していた作家の名前を、2巻で列挙するとみなもと先生言っておられたが、杉浦茂についてはページを割きそうな気がして来た。マー、触れるとキリがなさそうではあるから分からないけど。

 そしてみなもと先生は「マンガはパクりの文化」と言っているから、同書においてもマンガ史を騒がせた『W3』事件については複雑な心境があると述懐している。実際あの事件、真相は藪の中ですしね。

 全4巻の予定みたいだけど、果たしてそれだけで完結するのか? いや、書き漏らしたり新事実が判明したりした事を盛り込んで行ったらどうなるのかと思って……。実際読者に、新事実があったら教えてくれと呼びかけているし。こう言う呼びかけがあると言う事は、ヤハリこの本は子ども向けじゃないのかも知れない。