走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

言われてみればそう

・みなもと太郎先生ロングインタビュー

 非常に興味深い内容だけど、一番気になったのは以下の引用部分。

この本*1の中では、手塚治虫が出てきて、次にトキワ荘が出てきて、一方劇画もあって、水野英子もいて、ちばてつやもいて、と順に紹介していますが、実は、彼らが出てくる以前に人気だった「少年」「少年画報」「野球少年」「痛快ブック」「少年倶楽部」「少年ブック」といった雑誌に描いていたマンガ家たちの名前が、全然出てこないんです。

確かに、みんな時代の波の中に消えていくんですけれども、少なくともそれまでは、これだけの数の少年雑誌が毎月毎月出てたわけですから、そこに描いていた作家たちもちゃんと人気があり、読者を楽しませていたんです。そのことに触れていなければ、その人たちが悲しむというか。この人たちは、このままみんな忘れ去られていいのかというと、それはいけないわけで。

 時代の波に消えて行った先達に思いをはせるところが、みなもと先生らしいと言うか。しかし言われてみれば、そう言う人たちの事について我々は意外と無知だったのかも知れないとも。そしてこれからのマンガの歴史においても、そう言う時代とともに消えて行く者たちは出るんだろうな……。オレはマンガ家ではないから、直接は関係ないけどヤハリ。ちなみに『マンガの歴史』2巻において、この辺の作家たちの名前だけでも列挙する予定だとか。

 とりあえず、こないだ運営者が検挙されたマンガネタバレサイトみたいなものは、これからのマンガの敵だと言わざるを得ない。人の作品に勝手にただ乗りしてるんじゃねえ! ……失礼しました、取り乱しました。みなもと先生の情熱に触れると、描く苦労を無視した奴らが許せなくなって。

 もうひとつ。みなもと先生が、「マンガはパクりの文化です!」と言い切ったのも心強い。こないだ「目トレス」うんぬんを記事にした身としては、膝を打ったのでね。今やオリジナリティは、優れたパッチワークでもあると思っていたから。このパッチワークも、マンガを描く時にマンガだけと言うわけではないけどね。さて、オレも『マンガの歴史』買わなくちゃなあ。

*1:みなもと先生の『マンガの歴史』1巻のこと。