走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

小説『ルシファーマン』

 静かな、住宅街にある神社近くの道路。そこにごく普通の女子小学生の一団が歩いていた。
 ごくありふれた姿で、ごくありふれた友達同士の会話を交わしていた彼女らに、なんの変哲も無い。
 手にしている飲み物が、缶チューハイである事を除いては……。

 そんな彼女らの前に、黒と銀と赤で彩られた衣服を纏い、黒いマスクには赤い翼の生えたツチノコのような生き物のエンブレムをあしらって、黄色いマントを翻した怪人が現れた。

「その年で飲酒か?お前らロクな大人にならんぞ!」

 怪人の説教を無視してその場を逃げ出す少女達。そこに向けて怪人は気合を入れて一喝した!

 次の瞬間、少女達の衣服はズタズタに引き裂かれた!彼女らの体にはひとすじの傷も負わずに……。

「キャーッ!」

 恥辱と恐怖から絶叫する少女達……それを見て怪人は喜びつつ罵声を浴びせる。

「うわははは、女の怯える声を聞くと、ぼくの股間の海綿体はだんだん興奮してくるのじゃあ〜!」
「全員隠れ家に連れて帰って、躾の出来てない貴様らメスブタの尻といわずまんこと言わず、たっぷり調教してやるからな!ヒェーヘヘヘ……」

 と、その時怪人の頭部に石が投げつけられ、クリーンヒットした。

「誰じゃ、ぼくの頭に石投げよるのは!……げっ、月村……」

 そこには長身痩躯に白髪が目立ち、眼鏡の奥に鋭い眼光を湛えた中年がいた。

「また、人の世に出て悪さをするつもりかルシファーマン!そうはさせん!」

 そう言うと、月村と呼ばれた男は突如謎の護符を取り出しルシファーマンに突きつけ真言を唱えだした。

「オンアボキャベイロシャノウ マカボダラ マニハンドマ ジンバラハラバリタヤ ウン!」

 真言により苦しみだしたルシファーマンの身に、驚くべき変化が起きる。

 ボンッ!と言う音とともに、怪人の姿から不思議動物になってしまったのだ。それにより、魔力で引き裂かれた少女達の服が急速に復元する。

「しまった、またしても貴様に魔術を破られたか!だが、このままでは済まさんぞ!覚えていろ〜!」

 不思議動物は空を飛び、空の一角に在る暗雲から出てきた巨大な洋館へ入り、そのまま洋館ごと姿を消した。

(ルシファーマンが動いていると言う事は、まさか……!)

 空を見上げ、唇を噛み締める月村。少女達の形ばかりの礼も耳に入らず、しばらく彼は空を見つめていた……。やがて月村の携帯が鳴り響く。

「はい、もしもし……明石さん?なんですって?それで私にどうしろと?……分かりました……」

 ルシファーマンとは?月村と呼ばれた男との関係は?それは閲覧者諸君の応援次第で判明するだろう。