走れ小心者 ARMADA はてなブログ版

克森淳のブログ。特にテーマもなくゆるゆると。

刺又・突棒・袖搦

 id:kamayanさんとこに「今の『さすまた』は不審者を取り押さえる道具として不十分」と言う話が出ていた。*1その話についてコチラで興味深い話が。

 警備の仕事をしている関係上、現在の「さすまた」が江戸時代の刺又とは似て非なる物になるのも仕方ないかな…とは思う。例えば警備員も身辺警護(いわゆるSP)をしたり、現金輸送に関する仕事(守秘義務に触れる範囲でないレベルで話をしているつもりだが、もしかしたらヤバいかも知れない)の場合は警棒を持つが、それを使う警備員は不審者に対し中段・下段の構えは取れても、上段は「攻撃態勢になるので」取れないのだ。
 でも抑える方を相手が持ちにくい形にして、威圧感を与えない「さすまた」なり何なりは作れそうな気はするがなあ。

 ジョージ=オーウェル「パリ・ロンドン放浪記」においてオーウェルは、ロンドンの浮浪者が本当に危険な連中ばかりなら、救護院や宿泊所は武器も持たない少数の職員で多数の浮浪者を抑える事など不可能だと言っていたっけ。直接関係はないが、不審者や侵入者より捕り手の数が多くないと「さすまた」は意味がない(江戸時代の番所で突棒・袖搦とセットになっていたと言う事は、複数の捕り手で包囲する事を前提に用意していた筈だ)と思ったら「パリ・ロンドン放浪記」の記述を思い出した。

 「治安維持」のため、「微妙にいらないモノ」(「さすまた」とか工事現場の「テロ対策警戒実施中」の張り紙とか色んな条例とか)が周りに増えてやしないか?本当に安全な生活を脅かす存在は何かが見極められないままに。

*1:はてなキーワードの「さすまた」では、相手が得物を持っている場合とそうでない場合の差について言及していた事を付け加えておく。